鎌倉の歴史についてイタリア出身の方が書かれたのは、本書が初めて。
日本人に見慣れた風景も異国の方からすれば刺激的に映るのだ、と本書を読むとよくわかります。
鎌倉で見るものすべてに疑問を投げかけ、解説をされています。
「銭洗弁財天は、なぜ神社なのにお香が焚かれている?」
「鎌倉のまつりはお寺の前で終わるのはなぜ?」
「150年前まで鶴岡八幡宮は真言宗のお寺だった?」
疑問にも思わなかったことを、フランチェスコさんは次々と取り上げて行きます。本書を読むと、見慣れた鎌倉に新鮮な視点を与えてくれます。
鎌倉を初めて訪れたとき、私は鎌倉について何も知りませんでした。
「鎌倉歴史ガイドブック」はじめに
でも、このきれいな町にまつわる素晴らしい話や、想像もつかない恐ろしい出来事、それにこの町にあふれる美と優雅さに、私はすぐに魅了されました。
その後、私はそれまでに決して読もうとも思わなかった本と事典をたくさん買ってしまいました。勉強のために、週末は必ずどこかのお寺へと赴いていました。
鎌倉のおかげで私は面白い世界を知るようになりました。同時に、自分が25年前から住んでいた国をもっと理解できるようにもなりました。
本書は横書きで書かれており、文字の配置などが読みにくい箇所はあります。
ところどころに誤りがあるかもしれませんが、鎌倉を見直す新たな視点ができるのは本書ならでは。
フランチェスコさんの主観的な感想が書かれてれている点も、大変興味深いです。
私はベニス近郊のカオルレというところで生まれました。
「鎌倉歴史ガイドブック」プロフィール
当時は特に何もない漁村でしたが、今では大変な観光地になっています。そういう意味では少し鎌倉に似ているかもしれません。
日本に到着して、私の漂流生活は突然終焉することになりました。私は今でもここにいるのですから。(中略)
それからほぼ40年たった今、この国に根をおろした外国人のひとりとして、この国について書き残さなければならないと感じました。私はここに住めたことはある意味特権であり、ヨーロッパ人には日本について、日本人にはヨーロッパについて有用な話が今の私にはできるのではないかと考えたのです。
なぜなら今や私は両方に属し、またどちらにも属さない立場にいるからです。
(中略)
現在、3冊の本を同時に進行で書いています。全て日本についてです。
さて、これからどうなるのでしょう。人間の一生は意外と長いものです。
商品情報
鎌倉歴史ガイドブック
1,400円(本体価格)